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                  ダイビングの仕事に携わり プクブクと潜る毎日。    コンデジで撮った水中写真を中心に、海のお話や、自身の近況などを書いています。
by minwin
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予約席
「いらっしゃいませ」
「当店では様々な種類のプランクトンを沢山ご用意しております」
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 夜になると、停泊中の母船の後ろにジンベエやマンタが現れることがあります。
彼らは偶然やって来るのでしょうか?
いいえ、彼らは食事をしに来ているのです。
僕らは、彼らを食事に招待するためにちょっとした準備をします。
ライトを点けて、プランクトンを集めるのです。

 ある停泊中の夜のこと。
この日は、ジンベエが来てくれるかもしれないという噂の場所へやってきました。
夕方から、できる限りのライトを点けて準備をします。
次第に集まるプランクトン達。
後はお客様の来店を待つばかり。
果たして来てくれるのでしょうか。

 最初のお客様は小さな捕食者でした。
プランクトンを食べに来た、キビナゴやトビウオです。
キビナゴを狙って小さなイカも集まってきました。
賑やかになってきたバックデッキ。
すると突然、食事を楽しんでいた小さな生き物達に緊張が走ります。
イルカがやって来たのです。
逃げ惑うイカやトビウオ。
猛スピードで追い詰められ、パクッと一呑みにされてしまいます。
賑やかなバックデッキは一変、慌しいイルカのディナータイムとなりました。

 お腹がいっぱいになったのでしょうか。
しばらくすると何匹もいたイルカ達も姿を消して、
バックデッキはまた落ち着いた雰囲気を取り戻していきます。
お待ちかねのお客様は、まだ来ない。

 
 すっかり夜も更けた頃、彼はスーッと静かにやってきました。
やっと来ました、ジンベエザメです。
ゆっくりとライトの方へ近づいていくと、その大きな口で豪快に
海水ごとプランクトンを吞み込んで平らげていきます。
あれだけの巨体ですから、そう簡単に満腹になるはずがありません。
ライトの近くを回りながら、バクバクと、
何度も何度も大量のプランクトンを吞み込んでいきます。

「心行くまでお楽しみくださいませ」
「ここはあなたのための席なのですから」
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結局、彼は朝までずっと食事を続けていました。
彼らにとっては楽園のような場所なんでしょうね。


三ヶ月ぶりの更新でした。
by minwin | 2012-02-29 02:49 |
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